せーじ 同級生(Win95/98) を語る

elfさんのゲーム「同級生(Win95/98)」について語っているページです。

同級生 がはじめて世に登場したのは 1992年のこと。 16色画像形式 PD8 最後のゲームとなったゲームです。 その後、エルフさんは、16色画像形式としては GP4 を採用するようになりました。 また、キャラクタ毎に文字色が異なる最後のゲームでもありました。 ある意味、古き良き時代の最後のゲームだったという感じでもあります。

その CG は当時16色CG の中ではもちろん最高水準。 しかし、いまあたらめてその CG を見てみると、 エルフゲーム最後の 16色ゲームであるYU-NO(1996年)と比べると 月とスッポンの差があることに気づかされます。 そして、1999年。ハイカラーCG となって同級生が帰ってきました。 その CG のクォリティはまさに天と地。 各時代の CGクォリティをエルフホームページで確認すると面白いですよ。

不便さ健在?

旧版の同級生というと、一度ゲームを起動してしまったら二度と DOS に戻ってこれなくるので不便だという印象がありました。 これは、同級生までのエルフゲームはもともとフロッピーから起動することを前提 として作れていたからなのでしょう。 つまり、特に DOS から起動され、DOS に戻るということを第一には考えられてなく、 その部分のインターフェースが用意されてなかったということなのです。 あくまで「ハードディスクにインストールするのは各自の責任で行なって下さいね。」 という方針でしたので、ゲームをハードディスクにインストールし、 DOS から起動できたのは、あくまでオプションだったのでした。

さて、新版の同級生。 起動するとフルスクリーン表示されました。 作業しながらゲームしたかったので、ウィンドウ表示にしようとしたのですが、 方法がわかりません。 メニューの出し方が分からないのです。 なんとなく F1 キーのような気がしつつ説明書を読むと、やはり F1キー。 でも、ウィンドウ表示にはできません。 あれっ?と思って Alt+ENTER を押しても駄目。 とりあえず、ウィンドウ表示はあきらめました。 次にサウンドの音量が低かったので、メニューのボリューム設定で 音量を最大にするもまだ小さく、システムのVolume Control でボリュームを大きく しようとしたのですが、なんと Alt+TAB でタスクが切り替わらない。 ゲーム起動中はゲーム以外の作業がまったくできないという。 これは不便です。

活動日は短くなり、間延びなし

旧版の同級生の舞台は夏休み、同級生2の舞台は冬休みでした。 双方のゲームともにその休み期間中が活動日となっていました。 しかし、とうぜん夏休みの期間は冬休みのそれより長く、 したがって同級生2に比べると旧版の同級生は間延びした感がありました。

新版の同級生の舞台も夏休みではあるのですが、活動日は 8月10から 8月31まで。 夏休みの前半はバイトしていたという小説版「同級生」 と同じような設定になってます。 活動日が短くなり、毎日何らかの新しいイベントが起こるので、 まったく間延びがなく、最初から最後まで楽しくゲームを プレイすることができます。

後日談(1999/12/3): 掲示版で突っ込まれましたけど、 確認していないですけど、確かになんとなく、 オリジナルも 8月10日から8月31だったような気がします。 やっぱりシステムが改善されてサクサクすすむ感じなので 期間が短くなったように勘違いしてたみたいですね。

謎の美少女「キョウコ」ちゃん登場せず

旧版の同級生の画像ファイルを眺めていると、 H.PD8, KYOKO1.PD8, KYOKO2.PD8 という 3つのゲーム中に登場しない女の子のデータがあることに気が付きます。 ファイル名からこの少女の名前は「キョウコ」であることが分かります。

ところで、私の感覚だと同級生2、下級生に登場する女の子はみんな非常に魅力的で、 特に同級生2だと「桜子、いずみ、唯」、 下級生だと「みこ、涼子」あたりがお気に入りです。 しかし、同級生に登場する女の子は同級生2、下級生に登場する 女の子と比べるとあまり魅力的ではなく、お気に入りのキャラもいません。 そんな中、はじめて「キョウコ」の CG を見た時、一瞬で気に入ってしまいました。 聞いた話では、SS版の同級生if には登場するとのこと。 新版の同級生に登場してくれることを期待していたのですが登場しないようです。 残念。

ISPZシステムとは

「臭作」の 「おやじ4段積システム」以来、 WordsWorth(Win95/98)の剣士4段積システムなど 別にたいしたことのないシステムに適当名前つけているエルフさん。 新版の同級生では、ISPZシステム(一度選んだ選択肢はパパも絶対迷わないシステム) というのをでっちあげたようです。 これは「おやじ4段積システム」に似ている感じです。 「臭作」では一度選択した選択肢の背景色が 2度目以降はそれを選択することによって発生するイベントに応じた色に なっていました。 それに対し、IPSZシステムでは一度選んだ選択肢の背景色が 2度目以降はそれを選択することによってキャラクタの好感度が アップするかダウンするかが分かる色になります。 これで、選択肢の選択ミスによる好感度ダウンが防げ、 セカンドプレイ以降を安心してプレイできるというわけなんですね。

絵は同じ、シチュエーションは異なる

イベントの原画は新旧ともにだいたい同じものが使われているようです。 ただ、絵は同じでもそのシチュエーションが微妙に異なっていたり、 絵と絵の間に新しい絵が入っていたり、削除された絵があったりします。

例えば、よしこ先生。 旧版では主人公の妄想という形だった絵の一部が妄想じゃない シチュエーションとして使われています。 また、この一連のシーン中で新版の主人公は妄想しないため、 残りの妄想の産物として絵は削除されていたりします。

新旧それぞれシナリオが微妙に違うので、旧版をプレイしたことが あるひとでも新版をプレイしても新鮮な感じを受けれます。

エンディングあれこれ

あれこれ1:エンディングテーマソング付き

エルフゲーム初ではないでしょうか。 新版の同級生のエンディングはエンディングテーマソング付きです。 なかなかいい感じのエンディングで結構気に入っています。 ただ、適当にやった割にファーストプレイで 8人同時攻略で、 8回もエンディングが終わるのを待っていたので、結構くたびれました。

あれこれ2:エピローグが違う

旧版の同級生のエピローグは卒業式から数ヶ月後のワンシーンのみを表現し、 その後将来 2人はどうなったかについては語られていませんでした。 同級生2、下級生のエピローグでは主人公が大物になるサクセスストーリーと その後、2人が仲良く人生をまっとうすることが語られています。 新版の同級生のエピローグは同級生2や下級生と同じ方式のものに変更されています。 したがって当然、新旧ではエピローグの内容が異なっていて、 旧版をプレイしたことのある人に新鮮さを与えてくれます。

私は旧版の舞エンドで表示される CG が結構気に入っていたのですが、 エピローグが異なるため、新版ではこの絵は登場しません。 ですが、新版の舞エンドもすごく良い感じで気に入ってます。

非常に解釈の難しい気になるエピローグを見せてくれるのが美沙エンド。 他の多くが終生 2人仲良く暮らしました的なエピローグに対し、 美沙のエピローグは卒業式から数年後までしか語られません。 その最後のシーンは見方によっては別れのシーンに見えます。 同級生2のシナリオにあわせたエピローグなのでしょうか。 八十八町行きの電車にのるところも気になります。 このエピローグはどう解釈するべきなのでしょうか。 私にはわかりません。

全体を通して

同級生というゲームは、 最近のシナリオ重視の美少女ゲームを好んでプレイする人、 特にエルフゲームを全然やらない人にとっては、非常にシナリオが短絡的である と思っている人が多いのではないかと思います。 女の子の魅力がよく伝わるイベントをいくつか経て、 相手の女の子にも主人公の魅力を段々と感じてもらって仲良くなっていくタイプの ゲームに比べると、 同級生は基本的に一回のデートイベントとHイベントを経て、 あとはゲーム終了の期日を待つだけと非常に短絡的。 どうして会って間もない人と簡単にデートの約束をして、 そしてたった一回のデートで Hできるのか。 そこに疑問をもち、不満を持っている人もいるのではないでしょうか。 「お手軽なナンパゲームだから。」というのもその解ではありますが、 同級生というゲームをちゃんとプレイすればその解は見えてきます。

まず一つは恋愛の対象となる女の子の大半は ゲーム開始時にすでに主人公との種々のイベントを経て、 主人公に好意をもっているという状態になっているということ。 タイトルの通り女の子のほとんどは同級生で、 ゲームの舞台は高校3年の夏休み。 この 2年半の間にまったく好意をもってくれなかった女の子が 高校 3年の夏休みの短期間で突然好意を持つようになる方が不自然ですから、 同級生のこの設定は実に自然です。 もちろん、「同級生」の恋愛の対象となる女の子は同級生だけではありません。 しかし、そのような女の子も実は数年前に街で見かけた主人公に 一目惚れ状態で、かなり好意をもっているという設定になっていたりします。 中にはゲーム開始後に双方ともに初対面の女の子もいますが、 こういった女の子は主人公の魅力に惹かれ短期間でおつき合いできてしまうわけです。 そうです。このゲーム、多くの同級生に好意を持たれ、 街ではじめて見かけられた人に一目惚れさせてしまうほど、 主人公が強力に魅力的という設定なのです。 もし、この設定がずるいと感じるのなら シンデレラの話を思い出してみるとよいでしょう。 シンデレラは魅力的だったからこそ幸せになれたのであって、 彼女と同じ境遇の人すべてがシンデレラになれるわけではないのです。 シンデレラはなるべくしてシンデレラになったといえます。 多くの女の子とのエンディングがあるマルチエンドのゲームの主人公もまた 魅力的だったからこそ主人公になりえるのでしょう。 この手のゲームの主人公が魅力的でなければ、その方が不自然と言えるでしょう。 とはいえ、恋愛の対象となるのは主人公の魅力に気づいてくれた女の子だけ。 魅力に気づいてくれない女の子に話かけても無視されるか、 罵声を浴びせられる結果になります。 もし、話かけた女の子すべてが主人公の魅力に気づき、恋愛の対象となってしまうと ゲームとして破綻してしまいますから、この設定は非常に良い設定と言えます。

このゲームはゲームシステムの性質上、あまり気がつきにくいですが、 主人公が街を自由に徘徊し、 そこで人と出会ったときに生ずる何気ない会話の一つ一つがイベントです。 そう考えると、一人の女の子とのエンディングを向かえるまでに 実に多くのイベントを経ていることに気がつきます。 そう、そもそも同級生はイベントが少なくて、すぐに H してしまうような 短絡的なゲームと考えるのが間違いだったのです。

ただ単に日常会話をしているように見えるものをイベントとみるのを 疑問とする人もいるかもしれません。 しかし、この一見日常会話にみえるものも、 主人公と話ができて嬉しいけど、それを主人公に悟られないようにしているなど、 女の子たちの一言一言にその心情がよく表れています。 蛭田氏はこうした心情表現が非常に上手で、 同級生、同級生2、下級生はこうした心情表現を楽しむのが面白いゲームだと 私は思っています。 女の子の一言一言の文章表現に心情がよく表れていますが、 声優による音声の表現はスパイスとなってこれをより引き立てます。 音声がじゃまなゲームや、有名な声優を起用しただけの 音声があってもなくてもよいゲームと違い、同級生は音声があることによって、 その面白みが一層増すゲームとなっています。 そういう意味で私はエルフさんに、 リニューアルではない新作をだして欲しいと思いつつも、 同級生、同級生2、下級生をリニューアルしたことには大賛成です。 はじめて音声付きでリニューアルされた同級生2のときは 非常に不安でしたが、 実際にゲームをプレイしてみて、 親友で互いに主人公に好意をもっていることを気づいている 友美といずみの一言一言に表れている心情を声優が上手に表現しているのに 衝撃を受けて以来、音声付きは歓迎しています。 もちろん、衝撃を受けれたのはゲームを一度やっていて、 人間関係が把握できていたからこそなのですが。

結局、何が言いたいのかというと、 同級生というゲームに偏見をもっている人もこのゲームをやってみる価値は あると思うし、 すでに旧版の同級生をやったことのある人は その人間関係を把握できているので、 音声付きでリニューアルされた新版の同級生は非常に楽しめますよ。 ということなのです。

リフレインブルーに期待

というわけで会話だけで十分に女の子の心情を表現しているエルフゲーム。 そのエルフ初のノベルタイプゲーム「リフレインブルー」での 女の子の言動など、会話部分以外の文章表現にどれだけその心情を 込めてくるのか。その辺りにけっこう期待しているというか、 気になります。

どうでもいいことあれこれ

ゲーム中の町並みや、学校においてあるオブジェクト、 主人公の部屋のポスターなど。 従来、これらに過去のエルフ作品に関するものが使われていたりしたのですが、 今回はあまり使われていないようです。 とりあえずファーストプレイで気が付いたのは、 薬屋に WordsWorth のニーナさんのポスターがあることと、 ちはるの家に同級生2のいずみの和服姿の人形があることくらい。 めずらしいこともあるもんだと思いました。

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